
ペロブスカイト太陽光パネルとフレキシブルパネル、
何が違う?次世代太陽光のポイント解説
「ペロブスカイト」や「フレキシブルパネル」という言葉をニュースやインターネット記事で見かける機会が増えてきました。
どちらも「軽くて曲がる、画期的な次世代の太陽光パネル」として紹介されることが多いため、なかには「名前が違うだけで、結局は同じものなんじゃないか?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
実はこの二つは、技術の「種類」が根本的に異なります。
ペロブスカイトは太陽光を電気に変えるための新しい“素材”のことで、フレキシブルパネルは“軽くて曲がる”といった形や特徴を持つパネルのことです。
この記事では、両者の違いや特徴をやさしく解説し、今すぐ導入できるものと、これから注目すべき技術を整理してご紹介します。
ペロブスカイト太陽光パネルとは?次世代技術の基礎知識
軽くて曲がる――そんな“未来の太陽光パネル”として注目されているのがペロブスカイト太陽電池です。
日本でも近年、ニュースや研究発表で取り上げられることが増えており、「次世代の太陽電池」として大きな期待を集めています。
この章では、ペロブスカイト太陽電池の仕組みや特徴、そして注目される理由をわかりやすく紹介します。
ペロブスカイトって何?材料の特徴を分かりやすく解説
「ペロブスカイト」とは、特定の結晶構造をもつ化合物の名前です。この構造は光を効率よく吸収し、電気に変える性質をもっています。
従来のシリコン系太陽電池は“固い板”のような形状ですが、ペロブスカイトは液体のように塗って作れることが最大の違いです。
ガラスやフィルムの上にコーティングするだけで発電層を形成できるため、軽くて薄い太陽電池を作ることができます。
この製造のしやすさと高い発電効率から、「ペロブスカイト太陽電池は次世代の主力技術になる」といわれています。
ペロブスカイト太陽光パネルの仕組みと発電効率
ペロブスカイト太陽電池は、光を受けると電子が動き出して電気が生まれる仕組みです。シリコン系と同じ原理ですが、薄くても効率よく発電できるのが大きな特徴です。
経済産業省の公的資料によると、ペロブスカイト太陽電池のセル変換効率は26.7%まで向上しており、従来のシリコン系太陽電池(約26~27%)にほぼ匹敵する数値です。
さらに注目したいのが「タンデム構造」です。これは、ペロブスカイト層とシリコン層を重ねて設置する方法で、異なる光の波長をそれぞれ効率よく吸収できます。
結果として、単体の太陽電池では難しい30%以上の超高効率の発電も理論上可能で、将来的にはシリコンを超える可能性が期待されています。
ペロブスカイト太陽光パネルの3つの大きなメリット
- 製造コストが安い(低温プロセス)
従来のシリコンパネルは高温での製造が必要でしたが、ペロブスカイトは100℃前後の低温で作れるため、エネルギーコストが大幅に削減できます。また、印刷のような「塗布型」製造にも対応しており、大量生産にも向いています。 - 軽量化が可能
素材は非常に軽く、薄いフィルム状にもできるため、屋根の耐荷重を気にせずに設置できます。住宅だけでなく、ビルの壁面や窓、さらには車やドローンなどへの応用も期待されています。 - 設置場所の自由度が高い
柔軟な素材なので、曲面や傾斜のある場所にも取り付けやすく、従来の「平らな屋根にしか置けない」という制約がなくなります。まさに、“どこでも発電できる時代”を切り開く技術です。
曲がる・軽い!フレキシブル太陽光パネルの正体とメリット・デメリット
軽くて曲がる特性を持つフレキシブルパネルは、「貼る太陽光パネル」とも呼ばれ、従来の太陽光発電の常識を大きく変えました。
すでに実用化されているこの技術は、屋根の強度不足や複雑な形状といった課題を解消し、私たちに「どこでも発電できる自由」をもたらします。
この章では、フレキシブルパネルの構造や、私たちの暮らしのどんな場所で活躍しているのかを詳しく解説します。
フレキシブルパネルとは?軽くて曲がる太陽光パネルの仕組み
「フレキシブルパネル」とは、その名前の通り柔軟性があり、曲げられる特性を持つ太陽光パネルの総称です。最大の魅力は、その軽さと薄さにあります。
従来のパネルは重いガラスと金属フレームでできていますが、フレキシブルパネルでは、発電層を保護するために薄い樹脂フィルムやプラスチック基板を使用しています。
この構造により、従来の結晶シリコンパネルで行われていたような、「シリコンを高温で溶かして固め、薄く切り出す」といった工程が不要になります。
発電材料を基板に直接コーティングする「薄膜技術」が採用されており、材料の使用量を抑えて製造コストを低くできるメリットもあります。
主な素材には、薄膜シリコン系(アモルファスシリコンなど)やCIGSがあり、これらの薄膜技術が、軽くて薄いパネル製造を可能にしています。
フレキシブルパネルが活躍する場面
フレキシブルパネルの軽さと柔軟性が、これまで太陽光発電の導入を諦めていた場所への活用を可能にしました。
最も活躍が期待されているのが、住宅や工場のカーポートの屋根です。
従来の重いパネルでは、カーポートの屋根に負担がかかりすぎましたが、軽量なフレキシブルパネルであれば、補強なしで設置できるケースが多くなります。
また、屋根が曲面になっている特殊な建物、あるいはバスやトラック、キャンピングカーといった移動体の電源としても重宝されています。
さらに、建物の壁や窓ガラスに太陽電池を一体化させるBIPV(建材一体型太陽光発電)の分野でも、柔軟性や薄さを活かしてフレキシブルパネルの活用が進んでいます。
また、持ち運びが容易なため、アウトドアでのモバイル電源や、災害時の仮設電源としても活用が広がっています。
フレキシブルパネルのメリットとデメリット
フレキシブルパネルを導入する際は、その優れた特性と、現時点での課題をバランスよく理解しておくことが大切です。
最大のメリットは、何といっても「軽量で設置の自由度が高い」ことです。
屋根への負担を気にせず、様々な形状や場所に太陽光発電を導入でき、建物のデザイン性を損なわない点も大きな魅力です。
一方で、デメリットとしては、従来の結晶シリコン型パネルと比べて「発電効率がやや低い」ことが挙げられます。
また、薄い樹脂フィルムを使用しているため、製品によっては「耐久性や寿命が劣る」という課題もありました。
現在も、耐久性の向上やコストダウンに向けた技術開発は進んでいます。
導入にあたっては、設置環境や目的、そして耐久性に関するメーカーの保証内容をしっかりと比較検討することが、失敗しないための賢い選び方となります。
ペロブスカイトとフレキシブルパネルは何が違う?3つのポイントで比較
軽くて設置場所を選ばない点は共通するペロブスカイトとフレキシブルパネルですが、技術の仕組みや市場での立ち位置には大きな違いがあります。
フレキシブルパネルはすでに家庭や施設で導入可能ですが、ペロブスカイトはまだ研究・開発段階の技術で、実用化はこれからです。
違いをはっきりさせることで、導入の判断もしやすくなります。
ここでは「材料と特性」「実用化の段階」「入手のしやすさ」という、導入を考えるうえで押さえておきたい3つのポイントで、それぞれの特徴をわかりやすく比べていきます。
違いその1:「技術的な分類」と「対象範囲」の違い
ペロブスカイトとフレキシブルパネルの違いを理解するポイントは、それぞれの「技術的な分類」にあります。
ペロブスカイトは、光を電気に変える「発電材料(物質)」の名称です。従来パネルの「シリコン」のように、性能を決める核となる素材を指します。
一方、フレキシブルパネルは、「曲がる」「軽い」「薄い」といったパネルの物理的な特性や形状を表す製品カテゴリです。
つまり、フレキシブルパネルとは「薄膜シリコンやCIGSなど既存の材料を使い、曲がるように作った製品」のことです。
ペロブスカイトは将来的に、このカテゴリの中で「超軽量・高効率な新素材」として活用されることが期待されています。
両者は比較対象として範囲が異なりますが、将来ペロブスカイトが実用化されれば、「ペロブスカイト型フレキシブルパネル」として両者の利点が融合することになります。
違いその2:実用化の段階が異なる
二つの技術を比較するうえで、最も大きな判断材料となるのが「実用化の段階」です。
フレキシブルパネルは、すでに長年の研究と実証を経ており、現在、市場で多くのメーカーから購入・設置が可能です。
たとえば、当社・電池バンクが取り扱う「エネポート(ソーラーカーポート)」で使用している、Xソーラー社製のフレキシブルパネルがあります。
耐久性や長期信頼性のデータがしっかりと蓄積されており、安心して導入いただける実用製品です。
一方、ペロブスカイトは、発電効率の高さで注目されていますが、いまだに研究開発段階にあります。
特に、水分や熱、紫外線に対する強さを高めることが、今も大きな課題です。
現在は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)をはじめ、積水化学やパナソニックなど国内の主要企業が、量産化や長期的な安定性を確認するための実証を進めています。
研究開発は順調に進んでおり、2025年から実証が始まり、一部企業では小規模な商用化もスタートする見込みです。
2027年以降には、屋外での本格的な普及も視野に入っています。
違いその3:現時点での価格と入手性
実用化の段階が異なるため、「いつ、いくらで手に入るか」という点にも違いがあります。
フレキシブルパネルは、すでに製品として広く使われており、今すぐ購入・設置することができます。
価格は使用する材料(薄膜シリコンやCIGSなど)やメーカーによって幅がありますが、設置費用を含めた総コストは把握しやすくなっています。
一方、ペロブスカイトはまだ一般販売前の技術であるため、現時点では価格は未定で、自宅に設置することはできません。
しかし、製造プロセスが簡単になることで、将来的には従来のパネルよりも低コストで提供される可能性が高いと期待されています。
そのため、「今すぐ太陽光発電を導入して電気代の削減や災害対策を行いたい」という場合は、フレキシブルパネルが現実的な選択肢となります。
「数年後の低コスト・高効率化を待ちたい」という場合は、ペロブスカイトの動向を見守る、という判断になります。
ペロブスカイト太陽光パネルの将来性と課題
軽くて曲がるという特性を持つペロブスカイト太陽電池は、将来的に私たちの暮らしに新しい可能性をもたらす技術です。
しかし、実用化にはまだいくつかの課題をクリアする必要があります。
この章では、次世代技術が持つ可能性と、現時点での課題について、わかりやすく紹介します。
ペロブスカイト太陽電池の最大の課題「耐久性」
高い発電効率と低コスト製造という優れた特性を持つペロブスカイト太陽電池ですが、実用化に向けて乗り越えなければならない最大の課題が「耐久性」です。
現在の研究段階では、ペロブスカイトは、空気中の水分や酸素、そして屋外での温度変化や紫外線に触れると、化学的な反応を起こしやすく、発電性能が急速に低下してしまう傾向があります。
一般的な太陽光パネルには、20年以上の寿命が求められますが、ペロブスカイトはまだその長期的な安定性を確保できていません。
現在、日本の研究機関や企業は、発電層を完璧に守るための「封止技術」の開発や、劣化しにくい「新しい材料」の研究に総力を挙げて取り組んでいます。
期待される将来性:BIPVや軽量電源への応用
耐久性の課題さえクリアできれば、ペロブスカイト太陽電池は太陽光発電の可能性を飛躍的に広げます。特に期待される応用分野は二つあります。
一つはBIPV(建材一体型太陽光発電)です。ペロブスカイトは薄く、色の調整や透明化が比較的容易なため、窓ガラスや建物の外壁に組み込み、建物自体を発電所にすることができます。
もう一つは、超軽量電源としての応用です。従来のパネルの10分の1以下の軽さで発電できるため、ドローンや電気自動車、さらにはウェアラブルデバイスなど、これまで設置が難しかった場所でも発電が可能になります。
「どこでも発電」が実現することで、私たちのエネルギー利用の自由度は大きく向上するでしょう。
導入を検討するなら「今」と「将来」のどちらを重視すべきか
- 今すぐ導入したい、電気代を削減したい、災害対策をしたい方
フレキシブルパネルがおすすめです。すでに製品として確立されており、カーポートや折板屋根など、従来のパネルでは設置が難しかった場所でも導入できます。 - 数年後の革新的な技術を待てる方
ペロブスカイトの動向に注目しましょう。耐久性の課題が解決され、量産化が始まれば、従来のパネルよりも安価で高性能な選択肢となる可能性があります。
ただし、日本の住宅で電気代が高騰しているのは「今」であり、環境への貢献も「今」から始められます。
ペロブスカイトの実用化を待つ間でも、フレキシブルパネルならすぐにそのメリットを受けられます。
[合わせて読みたい]ペロブスカイト太陽電池とは?仕組みと特徴を徹底解説
フレキシブル太陽光パネルの現在と将来
軽くて曲がるという特性を持つフレキシブル太陽光パネルは、今どのような種類があり、これからどのように進化していくのでしょうか。
この章では、フレキシブルパネルの技術の現状と、将来的な市場の動きをわかりやすくご紹介します。
現在市場に出ているフレキシブルパネルの種類
現在、市場に流通しているフレキシブルパネルは、その発電材料(セル)によっていくつかの種類に分けられます。
- 薄膜シリコン系(アモルファスシリコンなど):このタイプは、シリコンを非常に薄い膜にして使用します。特にアモルファスシリコンは、製造コストが低く、非常に軽く柔軟にできるのが特徴です。主に、モバイル電源や小規模な電源、または柔軟性が非常に求められる用途に使われます。
- CIGS系(銅・インジウム・ガリウム・セレン):シリコン以外の化合物半導体を用いた薄膜パネルです。薄膜系の中では比較的高い変換効率を実現しており、高い信頼性も特徴です。海外メーカーを中心に採用されており、カーポートや工場の屋根など、耐久性も重視される設置場所で活躍しています。
フレキシブルパネルの技術進化の方向性
フレキシブルパネルの技術は、これからも進化を続けます。主に「効率の向上」「耐久性の強化」「新しい素材との組み合わせ」という三つの方向で開発が進められています。
特に注目されるのが、ペロブスカイト材料との組み合わせです。
軽くて薄いフレキシブルパネルに、ペロブスカイトの「高効率・低コスト」という特性が加わることで、次世代の理想的なパネルが生まれる可能性があります。
今後の展開も見えてきています。2025年には実証が始まり、2027年以降に小規模な商用化、2030年頃には屋外での本格的な普及が期待されています。
フレキシブルパネルは、この未来の技術をいち早く取り入れ、実際の市場で活用できる基盤技術として、これからも進化を続けていきます。
フレキシブルパネルの市場動向と普及予測
フレキシブルパネルは、技術的な進化だけでなく、市場からの需要も急速に高まっています。
特に大きな市場となっているのが、カーポート市場での需要増です。
自宅の屋根とは別に、駐車スペースを活用した太陽光発電は、新たな収入源や災害対策電源として人気を集めています。
私たち電池バンクがご提供する、LIXIL製カーポートとXソーラー社製フレキシブルパネルを組み合わせた「エネポート」も、この需要に応える具体的なソリューションの一つです。
また、従来の太陽光パネルの設置が難しかった工場の折板屋根や、建物の壁や窓に組み込むBIPV(建材一体型)市場の成長も需要を後押ししています。
国内外の市場動向を見ても、軽量で設置自由度の高いパネルの需要は年々拡大傾向にあります。
これは、「太陽光発電を導入できる場所は屋根だけではない」という認識が広がり、フレキシブルパネルがその普及の大きな鍵を握っていることを示しています。
まとめ:次世代パネルの最適解は「今」の実用性で選ぶ
この記事では、ペロブスカイト太陽電池が「材料そのものを変える」新しい技術として期待されていること、一方でフレキシブルパネルは「軽くて曲がる」という特長をいかして、すでに身近な場所で使える段階にあることをお伝えしました。
ペロブスカイトの本格的な普及は2030年頃とまだ先であり、その間にも日本の電気代は高騰し続けています。
軽量・薄型パネルの特長を、電気代の削減や災害への備えに「今すぐ」活かしたい方には、長く安心して使えるフレキシブルパネルを選ぶのが現実的です。
電気代の高騰や災害対策に「今すぐ」備えたい方にとって、信頼性の高いフレキシブルパネルは、現時点で安心して導入できる選択肢です。
ご家庭の屋根やカーポートに合うパネルを知りたい方は、ぜひ電池バンクに気軽に相談してみてください。
記事監修:電池バンク編集部
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