【徹底調査】
家庭用蓄電池の安全性:リスクと対策
最近は電気代の高騰や災害への備えとして、家庭用蓄電池の導入を検討されるご家庭が増えてきました。
一方で、「蓄電池って本当に安全なの?」「火災などのリスクはないの?」といったご不安の声を聞くこともあります。
この記事では、現場で数多くの設置に携わってきた私たちの視点から、家庭用蓄電池の安全性について、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
正しい知識を知っていただくことで、安心して使っていただけるように、リスクとその対策について正直にご紹介します。
ページ目次
家庭用蓄電池って本当に安全?まず知っておきたい基本の話

家庭用蓄電池の安全性について語る前に、まず現状をお伝えしましょう。
結論から申し上げると、適切に設置・使用されている家庭用蓄電池で重大な事故が発生するケースは極めて稀です。
スマートフォンのバッテリーと同じリチウムイオン電池を使用している家庭用蓄電池ですが、実は家庭用の製品には厳格な安全基準が設けられています。
IEC(国際電気標準会議)やJIS(日本工業規格)、電気用品安全法など、複数の安全基準をクリアした製品のみが市場に出回っているのです。
ただし、「絶対に安全」ということはありません。電気を扱う機器である以上、感電や火災のリスクはゼロではないのが現実です。
大切なのは、そのリスクがどれくらいのものか、そしてどうすれば最小限にできるかを知ることです。
近年では製造技術の進化により、安全性は格段に高まっています。さらに2024年には消防法の改正により設置基準がより明確化され、安全対策が強化されています。
つまり、現在流通している家庭用蓄電池は、過去のものと比べて安全性が大きく向上していると言えるでしょう。
[もっと詳しく] 2024年1月に消防法が改正!蓄電池に関する規制は何が変わった?
家庭用蓄電池を守る安全基準と新しい設置ルール
家庭用蓄電池は、国際規格や日本国内の法制度に基づいて厳しくチェックされており、一定の安全基準を満たさない製品は市場に出回ることはありません。
特に、2024年の消防法改正では、住宅地での設置に関する基準が見直され、安全に設置するためのルールがより明確になりました。
設置場所や離隔距離、住宅の構造に応じた対策など、万が一の事故を防ぐためのポイントが整理されてきたことは、ユーザーにとっても安心材料となっています。
家庭用蓄電池の広がりとこれまでの安全実績
現在、全国で数十万台規模の家庭用蓄電池が稼働していますが、重大な事故の報告はきわめて限られています。
これは、製品そのものの信頼性に加え、設置業者による確かな施工技術の成果でもあります。
ただし、どんなに安全性の高い製品でも、設置環境や使い方を誤ればリスクが生じる可能性はあります。
そのため、次の章では実際に起こりうるリスクとその対策について、具体的に見ていきましょう。
家庭用蓄電池の気をつけたいリスクとその理由

家庭用蓄電池は、安全に使えるようにさまざまな工夫がされていますが、仕組みを知っておくことで、より安心して使うことができます。
特に注意したいのは「火災」や「感電」のリスクです。
火災や爆発の原因になる「熱暴走」とは?
蓄電池に使われているリチウムイオン電池の中には、引火性のある有機溶剤が含まれた電解液が使われています。
通常は密閉されていて外に漏れることはありませんが、過充電や高温状態、落下などの衝撃により内部でショート(短絡)が起こると、急激に発熱し、この電解液や内部ガスに引火してしまうことがあります。
この一連の流れが「熱暴走(ねつぼうそう)」と呼ばれています。
スマートフォンのバッテリーが熱くなったり膨らんだりするのを見たことがある方もいるかもしれませんが、蓄電池は容量が大きいため、より注意が必要です。
とはいえ、現在の家庭用蓄電池には、過充電を防ぐ仕組みや、高温になると自動停止する安全機能がしっかり備えられており、こうしたリスクが起こらないよう配慮されています。
触ると危ない?感電のリスクと注意点
普段の生活で蓄電池の外側に触れただけで感電することはまずありません。
ただし、内部には高い電圧が流れているため、無理に開けたり、内部をいじったりすると、感電の恐れがあります。
また、水に濡れていたり、何らかの理由で液体が漏れていたりする場合も注意が必要です。
漏れた液体は、電解液や内部成分である可能性があり、蒸気に引火するおそれや、皮膚への刺激が生じることもあります。
万が一、蓄電池から液体がにじみ出ていたり、表面が濡れていたりする場合は、触れずにすぐ販売店やメーカーに連絡しましょう。
市販のリチウムイオン電池と同様、漏れた成分には有機溶剤が含まれている可能性があるため、火気は厳禁です。
安全に使うための設置場所のポイント
蓄電池の安全性は、置き場所にも大きく関係します。直射日光が当たる場所や、夏に高温になりやすい屋外、湿気がこもる場所は避けましょう。
内部に熱がこもると、劣化が早く進んだり、熱暴走を引き起こしたりする可能性もあります。
また、水に浸かるような場所への設置も避けてください。冠水すると、漏電や機器の故障につながることがあります。
さらに、地震の揺れなどで倒れてしまうと内部にダメージが残るおそれもあるため、しっかりと固定することが大切です。
安心して選びたい!製品の品質と安全性の違い
家庭用蓄電池は、国の安全基準を満たしている製品であれば、基本的に安心して使えます。
ただし、価格だけで選んでしまうと、安全性への配慮が不十分な製品に当たってしまうこともゼロではありません。
現在国内で流通している多くの製品は信頼できる品質ですが、念のため、信頼できるメーカーや販売店を通じて選ぶのが安心です。
特に、安全装置の内容や、異常時にどう対応する設計になっているかも確認しておくと、もしものときにも落ち着いて対応できます。
家庭用蓄電池の安全対策:設置から運用まで

リスクがあるからといって、家庭用蓄電池の導入を諦める必要はありません。適切な対策を講じることで、これらのリスクは大幅に軽減できます。
「転ばぬ先の杖」という言葉がありますが、まさにそれが安全対策の基本姿勢です。
信頼できる製品選びが第一歩
安全性の高い家庭用蓄電池を選ぶには、まず認証マークを確認しましょう。JIS規格適合品、電気用品安全法適合品(PSEマーク)、国際規格(IEC)準拠品などが安全性の目安となります。
また、信頼できるメーカーの製品を選ぶことも、安全性の面で大切です。
たとえば国内ではパナソニック、シャープ、京セラ、オムロン、ニチコン、長州産業などがあり、海外ではテスラやファーウェイなども選ばれています。
メーカーによって保証期間やサポート体制が異なるため、価格だけでなく「購入後の安心感」もふまえて検討するとよいでしょう。
価格の安さに惹かれがちですが、安全性に関わる部分でのコストカットは危険です。「安物買いの銭失い」にならないよう、適正価格の製品を選ぶことをお勧めします。
適切な設置場所の選択
蓄電池の設置場所は、安全性に直結します。理想的な環境は、直射日光が当たらず、風通しが良く、温度や湿度の変化が少ない場所です。
屋内に設置する場合は、専用のスペースを確保し、周囲に可燃物を置かないようにしましょう。
屋外に設置する場合は、防水・防塵性能に優れた機種を選び、雨水の侵入を防ぐために、しっかりとした施工が必要です。
また、夏場の高温対策として、できるだけ日陰になる場所を選んだり、遮熱パネルなどで直射日光を防いだりすると安心です。
さらに、メーカーごとに「動作可能な温度や湿度の範囲」が決められており、設置マニュアルに記載されています。
設置場所を検討する際は、この仕様もあわせて確認しておくと、より安心して使えます。
専門業者による施工の重要性
「DIYが流行っているから、自分で設置してみよう」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、家庭用蓄電池の設置は、必ず専門業者に依頼することが必要です。
電気工事士の資格を持つ技術者による正しい施工は、安全に使い続けるための基本条件です。配線や接地、保護装置の取り付けなど、専門的な知識と技術が求められる作業が多く含まれています。
また、無資格者による設置や不適切な工事が行われた場合、メーカー保証の対象外になることがあります。
トラブルが起きても修理や交換に費用がかかるおそれがあるため、信頼できる業者に依頼しましょう。
定期点検と日常のチェック
家庭用蓄電池は基本的にメンテナンスフリーで、特別なお手入れは不要な設計になっています。ただし、日常的に異常がないか気をつけておくことが、安全に長く使うためのポイントです。
たとえば、表示パネルにエラーが出ていないか、外観に変化はないか、周辺が汚れていないかといった、ちょっとした目視チェックを習慣にしておくと安心です。
万が一、「いつもと違う」と感じるような発熱・異音・異臭・外装の変化などがあれば、すぐに使用を停止し、販売店やメーカーに相談してください。
家庭用蓄電池と消防法:知っておきたい安全ルールと基本知識

2024年1月から、家庭用蓄電池に関する消防法のルールが新しくなりました。
「法律はなんだか難しそう…」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは私たちの暮らしを火災などのリスクから守るための大切な取り決めです。
ここでは、改正されたポイントを分かりやすく解説しますので、安心して蓄電池を導入するための知識としてお役立てください。
なぜ法律が変わったの?改正の背景
これまで消防法の規制は、主に事業で使われる大きな鉛蓄電池を想定したものでした。
しかし、近年、家庭でリチウムイオン蓄電池を導入するケースが急増したため、その安全性により配慮したルールが必要になったのです。
今回の改正では、規制の単位が国際基準の「kWh(キロワットアワー)」に統一され、実際の蓄電容量に合わせた、より現実に即した安全基準が定められました。
【重要】容量で変わる消防署への届出ルール
今回の改正で最も大きな変更点が、消防署への届出が必要になる容量の基準です。ポイントは「10kWh」と「20kWh」という数字です。
- 10kWh以下の蓄電池
原則として消防法上の規制対象外となり、届出は不要です。 - 10kWhを超え20kWh以下の蓄電池
多くの家庭用蓄電池がこの範囲に入ります。この容量帯では、JIS規格(JIS C 4412など)に適合するといった、国が定める安全基準を満たした製品であれば、規制の対象外となり届出は不要です。 - 20kWhを超える蓄電池
大容量の製品となり、設置する際にはあらかじめ消防署へ届け出る必要があります。
このように、JISマークなどが付いた安全な製品を選べば、ほとんどの家庭用蓄電池は届出不要で設置できます。
蓄電池の「置き場所」にもルールがある?
蓄電池をどこに置くかについては、実は2つの異なるルールを考慮する必要があります。
一つは国が定めた「消防法」のルール、そしてもう一つが、製品ごとに定められた「メーカー」のルールです。どちらも安全のために欠かせない基準です。
まず消防法では、火災時の延焼を防ぐため、屋外に蓄電池を設置する場合は原則として建物から3m以上の距離を保つよう定めています。
ただし、JIS規格に適合するなど消防庁が認めた安全性の高い製品については、この3mの離隔距離の決まりは適用されません。
しかし、法律をクリアしているからといって、どこにでも設置できるわけではありません。より重要になるのが、各メーカーが製品ごとに定めている設置基準です。
安全性や性能を維持するため、製品の放熱やメンテナンスに必要なスペース(離隔距離)が「施工説明書」に必ず記載されています。
このメーカーが定めた距離を守って設置しないと、最悪の場合、メーカーの製品保証が受けられなくなる可能性があります。
したがって、最終的な設置場所の判断は、消防法とメーカー規定の両方を熟知した専門の施工業者が行います。
安全装置はもはや「標準装備」
「法改正で安全装置が義務化された」というよりは、「公的な安全基準(JIS規格など)に適合することが、規制緩和の条件になった」と理解するのが正確です。
JIS規格に適合するためには、過充電や過放電、内部温度の異常などを防ぐ高度な安全装置が不可欠です。
結果として、現在市場で販売されているほとんどの家庭用蓄電池には、これらの安全機能が標準で搭載されています。
メーカー各社が高い安全基準をクリアした製品を開発しているため、私たちは安心して蓄電池を選ぶことができます。
もしもの時のサポート体制ってどうなっているの?

購入後のトラブル対応について、不安を感じる方は意外と多いものです。ここでは、蓄電池のサポート体制について、メーカーや販売店による違いも含めてわかりやすくご紹介します。
「センドバック対応」と「オンサイト対応」ってなに?
蓄電池に不具合が起きたときの対応には、大きく分けて「センドバック対応」と「オンサイト対応」の2つがあります。
少し聞き慣れない言葉かもしれませんが、かんたんに言うと…
- センドバック対応:いったん機器を取り外して、メーカーに送って修理してもらう方式
- オンサイト対応:メーカーや販売店などのスタッフがご自宅に訪問し、その場で修理や交換を行う方式
センドバックの場合、修理中は蓄電池が使えない期間が生じることがあり、状況によっては停電への備えが必要になることもあります。
一方のオンサイト対応は、現地での作業によって早く解決できることが多く、使う側の負担も少なくて済みます。
無償保証の年数や範囲も要チェック
蓄電池には通常、製品保証がついていますが、メーカーごとに保証期間や内容に違いがあります。
たとえば、「10年間または容量〇%を下回るまで保証」といった表記がある製品も多いですが、保証対象に「工事費」や「輸送費」が含まれるかどうかは、実は製品ごとに異なります。
一見すると似たような保証内容でも、いざ修理となったときに「ここから先は有料です」と言われるケースもあります。
製品を選ぶときは、「どこまでが無料で対応してもらえるのか?」を事前にチェックしておくと安心です。
また、自然災害補償をオプションで付けられるメーカーもあります。台風や落雷が多い地域では、そうした補償の有無も検討材料にするとよいでしょう。
電池バンクなら、困った時の相談もスムーズ
万が一トラブルが起きた時は、慌ててしまって冷静になれないこともありますよね。
そんな時でも、「まずはここに連絡すれば安心」とわかっていれば、気持ちがずいぶん楽になります。
電池バンクでは、取り扱う製品ごとにサポート体制をしっかり把握しています。ですから、「この症状はどうしたらいい?」というご相談も、どうぞお気軽にお寄せください。
もしメーカーとのやりとりが必要な場合も、できるだけスムーズに進むように私たちがお手伝いしますので、ご安心ください。
火災時の対処と消火方法について知っておこう

蓄電池は安全性に配慮された製品ですが、万が一のトラブルに備えて、火災時の基本的な対処法や適切な消火方法を知っておくことが大切です。
慌てずに落ち着いて行動できるよう、ポイントをわかりやすくご説明します。
火災発生時の消火と注意点
リチウムイオン蓄電池から煙や火が出た場合は、まずはご自身の安全を最優先にしてください。危険を感じたらすぐにその場を離れ、安全な場所へ避難しましょう。
そして、ためらわずに119番へ通報し、専門の消防隊に対応をまかせるのが基本です。
火の勢いが小さく、まわりに燃え移る心配がなく、安全に近づける状況であれば、家庭用のABC粉末消火器を使って初期消火を試みることも可能です。
また、リチウムイオン電池専用の消火剤や一部のクラスD消火器も対応できる場合があります。
火が収まったあとは、内部に熱がこもっている場合があるため、大量の水などを使ってしっかりと冷却することが重要です。
東京消防庁なども、リチウムイオン電池は高温下で内部が不安定になりやすいため、消火後も温度を下げる措置が必要だとしています。
リチウムイオン電池を用いた蓄電池設備の火災対策については、東京消防庁の検討委員会による報告書も公開されています。詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
まとめ:安全で安心な家庭用蓄電池の活用に向けて

家庭用蓄電池は正しい知識と適切な対応があれば、安全に役立てられる頼もしい設備です。
リスクを理解し、信頼できる製品を選び、専門家による施工や日常の管理をしっかり行うことが大切です。
万が一迷ったり困ったりしたときも、一人で悩まずに済むように、私たち電池バンクが皆さまの安全で快適な蓄電池ライフをしっかりサポートします。
製品選びから設置、アフターケアまで、お気軽にご相談ください。
蓄電池は暮らしの安心や環境に役立つ未来への投資。これからも安全意識を持ち続け、快適な毎日を支えていきましょう。

記事監修:電池バンク編集部
過去7千件を超える施工実績を有し、
その経験と知識を元に、
太陽光・蓄電池・V2H等のお役立ち情報を発信しています。
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